JT所有地架空転売話、訴訟ドロ沼 誰がだました? 消えた23億(産経新聞)

 日本たばこ産業(JT、東京都港区)が所有する土地の架空転売話をめぐり、医薬品メーカー「杏林製薬」の持ち株会社「キョーリン」の女性会長(53)側が30億円を詐取されたとして、東京地裁に起こした訴訟が泥沼化している。被告の一部は「だまされたのは自分たちだ」と反訴。交渉過程で偽造された契約書が使われていたことも判明し、JTは有印私文書偽造罪で警視庁に告発した。“売却交渉”に関与したのは計5人。杏林製薬の創業家出身である会長を手玉に取ったのは、果たして誰なのか…。(伊藤弘一郎、内藤慎二)

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 ≪占い師から≫

 「JTが所有する土地を随意契約で売却する。80億円で取得すれば110億円で転売できる。すでに転売先は見つけてある」

 訴訟資料などによると、会長に土地の転売話が持ち掛けられたのは平成18年12月。「占い師」の女性ら知人2人から、食品販売会社(東京都中央区)元幹部(66)に紹介された物件として説明を受けた。

 問題の土地は東京都渋谷区神宮前の約3190平方メートルの敷地。現在はコインパーキングとして使用されている。

 会長は15年11月ごろ、知人の紹介で占い師の女性と出会い、家庭の問題などを相談するうちに「精神状態が安定する」と信頼感を抱くようになった。その後も助言に従って株を売却、損を免れたりしたため、億単位の金を貸す間柄にまで関係が深まったという。

 転売話を聞いた会長はスイスのプライベートバンク(PB)から融資を受け、80億円を調達。その後、占い師と一緒に物件を説明した知人女性からは、JT現職幹部(当時)の印鑑が押印された「売却通知書」のコピーや、幹部の名刺などを示された。

 このため会長は19年12月、内金として知人女性から指定された不動産会社(東京都千代田区)に10億円を送金。さらに売買契約を締結した後の20年4月、この不動産会社幹部(36)名義の口座に20億円を振り込んだ。

 ≪「契約書は偽造」≫

 しかし、入金以降も転売話は進まず、会長は知人女性に30億円の返金を要求した。これまでに7億3千万円が返還されたが、計22億7千万円はいまだに戻ってこないという。

 会長側は損害金の一部約6億5千万円の返還を求め、食品販売会社元幹部、不動産会社幹部、売買契約の「立会人」として署名・押印した男(72)らを相手取り、昨年4月に東京地裁へ提訴した。「立会人」の男は交渉の終盤で会長と面会し、「すべてうまくいっている」などと説明したとされる。

 会長は杏林製薬の創業家出身で、平成11年度の納税額が約4億2500万円に上るなど、資産家として知られる。

 一連の転売話について、土地を所有するJTは「名刺の幹部は実在していたが、転売話にかかわった事実はない」と説明。JT側が確認した結果、契約書類などがすべて偽造されていたとして、警視庁に有印私文書偽造罪で告発した。

 一方、架空の転売話を持ち込んだとされる食品販売会社元幹部は「当時は実体のある取引と信じており、知人女性とともに不動産会社幹部らにだまされた」と主張。会長側を相手取り今年1月、逆に損害賠償請求訴訟を起こした。

 また、30億円の入金を受けたとされ、双方から“詐欺師”と名指しされた不動産会社幹部は産経新聞の取材に対し、「偽造にはまったくかかわっていない。入金があった30億円の大半はその後、会長や知人女性らに渡っており、当方が詐取したというのは間違っている。裁判の中で金の流れを説明したい」としている。

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